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相続の相談は誰にすれば良い?相続手続き別の相談先と費用目安を紹介

相続の相談先は弁護士や税理士というイメージを持っている方も多いのではないだろうか。しかし相続は手続き内容によって相談先や依頼先が異なる。そのため誰に相談したらよいか分からないという方も多い。また相談したいものの普段依頼することも少ない事例であるため、どれくらいの費用が発生するか検討がつかないという方もいるだろう。

そこで今回、相続の手続き内容別の相談先について解説する。また相談した場合の費用目安も紹介するため、これから相続を控えている方はぜひ参考にしてほしい。

目次

無料で相談したい場合

相続の相談は有料であるケースが多いものの、無料で相談できる場所もある。ここでは2つの無料相談先について解説する。

役所で相続税の相談が可能

役所の税務相談窓口には税理士が出向いてくれるため、相続税の相談を無料で行うことが可能である。「相続税の課税対象者となっているのか」「節税方法などはあるのか」などを確認することができる。ただし、相談する際は遺産合計額の算出をしていることや非課税財産や債務などの資料を用意していなければ納税額を算出することはできないため、相談した日に納税額を算出できない可能性もある。

また役所の税務相談窓口を利用する際は、ホームページで予約しなければいけない。相談できる時間と人数に制限があるため、具体的な相談をするには時間が足りないデメリットがある。

無料相談できる弁護士・税理士

弁護士や税理士によっては、初回の30分を無料相談としているところも多い。ただし相続税の計算などは初回相談での時間では足りないため、具体的な計算を依頼する場合は有料となる可能性も高い。

弁護士も同様に、相続トラブルの相談はできるものの具体的な内容精査をするとなると、何日も時間がかかるため、本格的な相談は有料となる。そのため専門家への無料相談は簡易相談と認識しておくべきである。

相続内容別の相談先について

では相続の相談を本格的に行いたい時、誰に依頼すれば良いのだろうか。下記の表は各士業が行う相続手続きである。

取引業務司法書士弁護士税理士行政書士
相続登記×××
財産調査
相続人の調査代行×
金融機関の名義変更×
遺産分割協議書の作成代行×
相続放棄の手続き申請代行××
遺言書の確認代行××
遺言書の検認依頼代行××
相続税の申告手続き×××
相続争いの相談×××
車などの相続手続き×

それぞれ相続手続きが行える範囲に制限があることがわかる。では具体的にどのような内容を行えるのかについて、次の項で解説する。

司法書士

司法書士は相続の手続きの中で最も作業可能範囲が大きい特徴がある。ただし司法書士の主な作業範囲は相続登記である。不動産などを相続した場合、名義変更登記をしなければ相続人の所有権に移行することができず、運用ができなくなる。相続登記は専門的な知識が求められる作業であるため、司法書士に依頼しているケースがほとんどである。相続登記について詳しく知りたい方は「相続登記に必要な8つの書類とは?必ず間違えてはいけない3つの注意点も解説」を確認してほしい。

また遺産分割協議書の作成代行や相続放棄の手続き申請代行なども行うことができるが、遺言書の内容確認や相談は弁護士法上行うことはできない。司法書士はあくまで相続手続きのサポートであるため、相続に関する内容の助言などはできないことに注意してほしい。

弁護士

弁護士は相続に関するエキスパートであり、主に相続トラブルが発生した際に依頼する。また相続に関する具体的なアドバイスも職権上行うことができる。そのため相続トラブルが発生した場合や、相続開始前の対処方法などを相談することが可能だ。

また弁護士には代理権がある。相続人に代わって遺産分割協議書などを進めることもできる。さらに遺産分割協議にて相続人がトラブルになった際、仲介役として相続人の間に入って遺産分割協議を進めることも可能だ。ただし相続関連が不得意という弁護士もいるため、ホームページなどを確認してから相談することが望ましい。

税理士

税理士は相続税のプロフェッショナルである。納税額の計算だけでなく、相続税の節税方法などのアドバイスもしてくれるメリットがある。相続税の節税は被相続人が生前中に行う必要があるため、相続発生前に税理士へ相談していることが望ましいだろう。相続の節税方法について詳しく知りたい方は「相続対策は2種類必要!相続人が安心する対策方法を紹介」を確認してほしい。

行政書士

行政書士は相続手続きにおいて車の名義変更などを行う際に依頼する。それ以外は司法書士の方が作業可能範囲が多いため、行政書士へ依頼するケースはさほど多くはない。相続に関する相談も弁護士法でできないため注意してほしい。

相続手続き別の相談先

相続手続き別の相談先を紹介したが、具体的にどのタイミングで依頼すれば良いかわからない方もいるため、相続発生から申告と納税までの手続きに合わせた際の依頼先を紹介する。

No相続手続き内容依頼先
1死亡届の提出行政へ提出自分
2遺言書の有無の確認遺言書の所在を確認自分
3遺言書の検認申請裁判所へ遺言書の検認申請手続き司法書士
弁護士
4財産調査相続人の財産額の算出税理士
弁護士
5相続人の調査法定相続人になる方の調査司法書士
弁護士
行政書士
6相続人の確定(相続放棄・限定承認の確認)調査した相続人から外れる人の確認を行い相続人の確定をする司法書士
弁護士
7被相続人の準確定申告被相続人の生前時の所得税の確定申告税理士
8遺産分割協議相続人同士で遺産分割がまとまらない場合弁護士
9遺産分割協議書の作成遺産分割協議の内容をまとめた書類の作成代行司法書士
弁護士
行政書士
10相続税の計算相続税の申告と納税のために納税額を算出税理士
11相続登記各機関にて名義変更司法書士
行政書士(自動車名義変更の場合)
12相続税の申告・納税税務署にて相続税の申告と納税を行う税理士

上記の表を見てわかるとおり、申告と納税までの間に行う相続手続きはたくさんあり、依頼先も異なるため注意が必要である。より具体的に相続手続きについて詳しく知りたい方は「相続手続きの全体スケジュールとは?自分で手続きは出来るのか」を確認してほしい。

相続手続きにかかる専門家への費用とは

では各士業に依頼した場合、どれくらいの費用は発生するのだろうか。ここでは士業別の費用相場を紹介する。ただし士業によって価格は異なるため、具体的な費用は直接相談することをおすすめする。

司法書士へ依頼した場合

司法書士へ依頼する主な作業範囲は相続登記の他に相続人の調査代行や遺産分割協議書の作成代行などが挙げられる。それぞれの費用相場は以下の通りである。

主な作業内容費用相場備考
相続人の調査代行1万5千円~3万円前後遠隔地の場合は交通費と日当費が追加となる
遺産分割協議書の作成代行3万円~5万円前後法定相続人が増えると費用も高くなる
相続登記手続き3万円~10万円前後登記する数が多い場合、さらに費用が高額となる

税理士へ依頼した場合

税理士は相続税の申告を依頼する。費用に関しては相続財産額によって以下の表の通りに定めているケースが多い。

相続財産額税理士報酬
3,000万円30万円
5,000万円50万円
1億円100万円
1億5千万円150万円
3億円300万円
5億円500万円
10億円以上要相談

一般的に税理士報酬額は相続財産額の1%と設定している。とはいえ上記の価格より安い税理士も存在するため、相談する際は価格を確認してほしい。

また相続発生前に相続税の計算を知りたい場合でも税理士へ相談することが可能だ。相談料は5,000円から1万円前後ほどであるが、相続税の申告まで依頼する場合は無料で行ってくれるケースもある。

弁護士へ依頼した場合

初回無料相談としている弁護士が多いものの、裁判まで発展した場合は「着手金」と「報酬金」が発生する。双方の費用は裁判によって得る相続財産額によって以下の費用が発生する。

相続財産額着手金報酬金
300万円以下8%16%
300万円超え3,000万円以下の場合5%+9万円10%+18万円
3,000万円超え3億円以下の場合3%+69万円6%+138万円
3億円超えの場合2%+369万円4%+738万円

もちろん裁判で負けた場合であっても、判決までの作業費用は発生する。費用に関しては弁護士によって異なるため、事前に確認しておくことが望ましいだろう。また弁護士は相続人の調査や遺言書の作成代行なども行ってくれる。ただし司法書士より価格は高い傾向にあるため、注意してほしい。

行政書士へ依頼したい場合

行政書士は相続に関する書類作成を依頼する際に利用するが、費用に関しては司法書士と大きく変わらない。行政書士ができる自動車の名義変更を依頼する場合は2万円~3万円ほどの費用を目安としておいてほしい。

その他の相談先

これまで士業の相談先を紹介してきたが、簡易相談先は他にもある。ここでは2つの相談先を紹介する。

金融機関

金融機関には資産管理のアドバイスができるファイナンシャルプランナーが社員としているケースが多い。概算の相続税の計算であれば無料で計算してくれる金融機関もある。また相続税の納税額を融資してくれる場合もあるため、相続発生前に相談しても良いだろう。

さらに各金融機関には提携している士業があるため紹介してくれることもあるだろう。金融機関からの折り紙付きの士業であるため、安心して任せることも可能である。

賃貸住宅建築会社

大手の賃貸住宅建築会社は相続税対策としてアパート建築の相談を承っている。賃貸住宅の建築動機の30%〜40%が相続税対策と言われているため、節税も兼ねて賃貸住宅建築会社へ相談することも可能だ。

ただし相続税対策として賃貸住宅を建築する場合は、数千万円から数億円の費用が発生する。非常に大きな金額であるため、十分慎重に検討してほしい。

まとめ

今回、相続手続きの内容別相談先と費用目安を紹介した。相続の相談は大きく分けて4つの士業に依頼する。相続登記は司法書士、相続税の相談は税理士、相続トラブルは弁護士、相続の書類作成は行政書士である。それぞれ作業できる範囲は職権上制限があるため、相談先は間違えないように注意してほしい。

また士業によって費用は異なる。一般的な目安はあるものの、高い士業も居れば、手頃な価格で相談できる士業もある。そのため本格的な相談を依頼する前に、どれくらいの費用が必要か確認しておいた方が良いだろう。

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