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相続税の納税資金として不動産を売却する2つのコツとは?

相続税の税率は日本で最も高く、平均納税額も非常に高額である。そのため自己資金で支払うことが難しく、土地を売却して納税している方も多い。今回は相続税の納税資金として土地を売却する流れと2つのコツ、売却時の注意点を紹介する。

特に注意点に関しては売却時に必ず確認しておかなければいけないポイントであるため、これから相続した土地を売却する方はぜひ参考にしてほしい。

目次

相続から土地を売却するまでの流れ

はじめに相続した土地を売却するまでの流れを解説する。相続が発生したからと言ってすぐに土地を売却できるわけでないため、正しい手順を理解しておいてほしい。

遺言書または遺産分割協議書の確認

被相続人の土地を売却するには、土地を相続することが確定した証明書が必要となる。証明書となるのは「遺言書」または「遺産分割協議書」だ。遺言書とは被相続人が生前中に相続財産について明記したものである。遺言内容に「土地を相続させる人」が記載されている場合、原則遺言通りに相続する。

しかし遺言書が作成されていなかった場合、相続人同士で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する。遺産分割協議書とは被相続人の財産の分割方法を相続人で話し合った内容をまとめたものである。遺産分割協議について「相続発生後に遺産分割協議を行う理由とは?協議書の作成方法と注意点を解説」にて詳しく解説しているため確認してほしい。

遺言書と遺産分割協議書は土地の相続人である旨を第三者に証明することができる。一方で遺言書もなく、遺産分割協議書もなければ土地の売却はおろか、相続手続きも進められないため注意が必要だ。相続手続きの内容と方法が気になる方は「相続手続きの全体スケジュールとは?自分で手続きは出来るのか」を参考にしてほしい。

相続登記

土地の相続人を証明できる遺言書または遺産分割協議書を持って相続登記を行う。土地などの不動産は所有者でなければ売却できないため、被相続人から相続人へ名義変更を行う登記をしなければいけない。

相続登記は自身で行うことも可能だが、専門性が高いことから多くの方は司法書士へ依頼している。相続登記について詳しく知りたい方は「相続登記に必要な8つの書類とは?必ず間違えてはいけない3つの注意点も解説」を確認してほしい。

不動産会社へ売却依頼

相続登記が完了した後は、不動産会社へ土地の売却査定を行う。相場価格を教えてもらい、適切な価格に設定する。高すぎる価格は売却できなくなる可能性も高いため注意してほしい。

売買契約・決済

売却する土地の買い手が見つかった後は、買主と売買契約書を締結する。売買契約書では売買価格や重要事項などを確認し、買主と売主が署名捺印する。契約書はそれぞれ1通保管し、その後決済を行う流れだ。決済では買主から土地代金をもらい、不動産会社へ仲介手数料を支払う。

また売却して利益が発生した場合は譲渡所得税の課税対象となるため、翌年確定申告を行わなければいけないため注意してほしい。譲渡所得税については「相続した土地を売却した場合の税金計算方法と売却手順を紹介」でより詳しく解説している。

不動産を売却する2つのコツ

ここでは「不動産を早く売却したい方」、または少しでも「手残り金を多くしたい方」に向けて2つのコツを紹介する。

不動産を早く売りたい方

不動産を早く売却して現金化したい方は、土地買取りを専門としている会社や建売業者へ売却することをおすすめする。土地買取り業者は名前の通り、土地の買取専門の業者であり、常に土地を探しているため早期に売却できる可能性は高まる。

もちろん土地の形状や立地によって異なるため、一概には言えないものの、不動産会社に依頼して買主を見つけてくれるより早く売却できるだろう。ただし相場より価格は安い傾向にあるため注意してほしい。

手残り金を多くしたい方

不動産の売却価格は自由だが相場からかけ離れた金額は売却できないため、高く売ることを意識するのではなく、諸費用や税金を抑えることを意識することで、手残り金を多く残すことにつながる。土地の売却時と売却後には以下の費用が発生する。

売却時にかかる費用費用
仲介手数料(売買代金×3%+6万円)×消費税
売買契約書に添付する印紙代5,000円~6万円前後(売買代金が500万円~5億円以内の場合)
譲渡所得税売却利益に対して20%~39%

仲介手数料とは買主と売主の仲介を行ってくれる不動産会社へ支払う手数料だ。価格は上記の計算式で算出できるが、不動産会社によっては更に半額などと設定しているケースもある。さらに先ほど紹介した買取会社の一部では仲介手数料が発生しないこともある。

買取会社が不動産会社であれば、自社で仲介できるため、買主である買主会社が仲介手数料を支払う先もない。買主が支払わないのに売主が支払うというのは不公平であることから売主にも請求しないことが一般的だ。仲介手数料を少しでも抑えたい方は、仲介手数料が安い不動産会社、もしくは手数料が発生しない会社を選択するのが良いだろう。

また相続した土地を売却し、利益が発生した場合は譲渡所得税が課せられる。譲渡所得税は土地の保有期間5年を境に税率が半分近く異なる。保有期間が5年未満であれば税率39%、5年以上であれば20%だ。ただし相続税の納税は10か月以内であるため、税率39%は避けられないため注意してほしい。

相続した土地を売却する際の4つの注意点

相続した土地を売却する際はこれから紹介する4つのポイントに注意してほしい。

抵当権は抹消しなければ売却できない

売却する土地に抵当権設定が設定されている場合、抵当権の抹消登記をしなければ土地は売却できないため注意してほしい。抵当権とは金融機関から土地を担保として借入している場合、万が一債務者の返済が滞ってしまった際に金融機関は土地を差し押さえることができる権利のことを指す。差し押さえた後に金融機関が土地を売却し、返済に充てるという仕組みだ。

住宅ローンで家を建築した土地やアパートローンなどを借りて賃貸物件を購入した場合、必ずと言えるほど抵当権が設定されている。抵当権設定を外すには借入を完済しなければいけない。また抵当権が設定されていると次の購入者は新たな抵当権が設定できないため金融機関から借入することもできない状態となる。

そのため相続した土地を売却する際は、金融機関の借入は全て支払い抵当権を抹消する必要がある。ただし土地の売却代金から返済することもできるため、事前に金融機関へ確認しておいた方が良いだろう。

指値されるケースがほとんどである

不動産会社と相談し土地の売却価格を設定したものの、ほとんどのケースで値段交渉である指値をされる。そのため当初想定した価格より安く売却されることが多い。

もちろん指値されても断ることが可能だが、断り続けると売却できないことにもつながりかねない。そのためあらかじめ指値されることを加味しながら値段を決めておいた方が良いだろう。一般的な指値は、「売却代金の5%〜15%前後」または「百万円未満の端数切捨て」が多い。

境界杭の確定はしておくべき

隣接している土地との境には境界杭がある。しかし境界杭は年数が経過すると風によって紛失したり、破損したりする。境界杭が明確に残っていない土地の境がわからず、金融機関から融資を受けることができない可能性もあるため、買主が見つかりにくいデメリットがある。

さらに登記事項証明書の面積と実際の面積に違いが生じる可能性もあるため、安く土地を売却してしまう可能性もあるだろう。そのため土地の境界を明確にする境界確定は行っておいた方が良い。境界確定は「土地家屋調査士」「司法書士」へ依頼でき10万円から100万円前後となる。境界確定するポイントの数や隣地の人数などによって価格は大きく異なるため、事前に見積を取ってから依頼してほしい。

共有名義の場合の売却は全員の同意が必要

被相続人の土地を共有名義で相続した場合、名義人全員の同意がなければ売却できないため注意してほしい。共有名義とは不動産の持分をそれぞれ所有することを意味する。例えば長男が持分1/2、次男と三男が1/4とすることだ。持分が違うとそれぞれ負担する固定資産税にも違いが生じる一方で、借地などとして第三者へ貸している場合、賃料収入は持分に応じた値を得ることになる。

しかし共有名義である場合、売却はおろか建物の建て替えなどは名義人全員の同意が必要となる。さらに名義人が亡くなり、次の相続人が保有することになることが続いていくと、自然と遠い親族と共有名義となり、より自由度は下がってしまうことにもつながりかねないだろう。そのため土地を相続する際は売却以前に「単独名義で相続できるか」「共有名義人も同意してくれるのか」を確認してほしい。

まとめ

今回、相続税の納税資金として土地を売却する流れと2つのコツ、売却時の注意点を紹介した。不動産は遺産分割協議書や遺言書をもって相続登記でき、はじめて売却することが可能となる。さらに登記を行ってから不動産会社へ売却査定を依頼し、売買契約・決済までとなると、相続発生からかなりの日数を費やしてしまうだろう。

そのため相続税の納税資金として売却したい場合は、買取専門などの会社へ売却することをおすすめする。とはいえ、売却する際は紹介した4つの注意点を意識しておく必要があるため、相続が発生した段階で不動産会社へ相談していても良いだろう。

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