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法定相続割合で相続できる財産額と納税額の一例を紹介!法定相続割合が適用されない4つのケースも解説!

相続が発生した後は、被相続人が作成した遺言書に基づいて遺産分割を行うのが原則である。しかし誰しも遺言書を作成しているわけではなく、法定相続割合に応じた遺産分割を行っているケースが多い。しかし法定相続割合と言われてどれくらいの遺産を取得できるかご存じある方も少ないのではないだろうか。

そこで今回、相続人別の法定相続割合で取得できる財産額と相続税額の一例を紹介する。また法定相続割合が適用されない4つのケースと、相続税額が法定相続割合と一致しない場合の事例も解説するため、これから相続を控えている人はぜひ参考にしてほしい。

目次

法定相続割合とは

そもそも法定相続割合とはどのようなことを指すのだろうか。ここでは法定相続割合について解説する。

民法で定められている財産を相続できる割合のこと

法定相続割合とは法定相続人が相続できる財産の割合のことを示し、民法で定められいる。相続において、被相続人が残した遺言書がある場合、その記述通りに財産を分割することが原則である。しかし遺言書が作成されていない場合、相続人同士で話し合いを行い、遺産分割割合を決めていく。その際一つの指標となるのが法定相続割合である。

ただし法定相続割合通りに必ず分割しなければいけないということではない。相続の遺産分割は相続人全員が納得することが重要であるため、当事者同士の話し合いで決めることも可能である。

法定相続割合はどれくらいになるか

では相続人の法定相続割合はどれくらいになるのだろうか。各相続人の法定相続割合は以下の表の通りとなる。

相続人配偶者親(直系尊属)兄弟姉妹
配偶者のみ100%
子供のみ子供1人の場合は100%(2人なら1/2ずつ)
親のみ100%(両親がいる場合は1/2ずつ)
兄弟姉妹のみ兄弟の人数に合わせて按分(2人なら1/2ずつ)
配偶者と子供1/21/2を子供達で按分(2人なら1/4ずつ)
配偶者と親2/31/3(両親が入る場合は1/6)
配偶者と兄弟姉妹3/41/4を兄弟たちで按分(2人なら1/8ずつ)

上記を見てわかる通り、配偶者が生計を同一にしているケースが多いため最も多く財産を取得できる。取得財産が少なければ生活に影響が出る場合もあるためである。では上記の割合をもとに。どれくらいの財産が取得できるのか。また財産に対して納税額はいくらにるのかについて次の項で解説する。

法定相続割合での取得財産額と相続税額の一例

先ほど紹介した法定相続割合をもとに、相続できる財産額と納税額を紹介する。納税額が財産額に対してどれくらい課せらるか気になる方も多いだろう。そのためここでは遺産相続する財産は下記の3つの価格と仮定して財産額と納税額を紹介する。

  1. 5,000万円
  2. 1億円
  3. 1億5千万円

相続税の計算方法について知りたい方は「相続税の計算方法をわかりやすく解説!計算する際の3つの注意点とは」を確認してほしい。

配偶者と子ども

遺産額配偶者の取得財産額配偶者の納税額子どもの取得財産額子ども納税額
5,000万円2,500万円0円2,500万円325万円
1億円5,000万円0円5,000万円800万円
1億5千万円7,500万円0円7,500万円1,550万円

配偶者は「取得財産額が遺産額の法定相続割合分以下」もしくは「取得財産額が1億6千万まで」は非課税となる配偶者控除が適用できるため、相続税は課せられない。一方子どもが1人の場合、上記の表の取得財産額と納税額となるが、複数人いる場合は、人数分に均等することとなる。

配偶者と親の場合

遺産額配偶者の取得財産額配偶者の納税額親の取得財産額親の納税額
5,000万円3,333万円0円1,667万円200万円
1億円6,666万円0円3,334万円466.8万円
1億5千万円1億円0円5,000万円800万円

先ほどの「配偶者と子ども」同様に配偶者控除が適用されるため納税額は0円となる。また親の取得財産額と納税額は片親のケースであるため、両親がいる場合は一人あたりの金額は半分となる。

配偶者と兄弟姉妹

遺産額配偶者の取得財産額配偶者の納税額兄弟姉妹の取得財産額兄弟姉妹の納税額
5,000万円3,750万円0円1,250万円137.5万円×20%
1億円7,500万円0円2,500万円325万円×20%
1億5千万円1億1,250万円0円3,750万円550万円×20%

兄弟姉妹に関しては納税額に対して20%加算される「2割加算」が適用となる。2割加算は被相続人から血縁関係の遠い、「兄弟姉妹」や「祖父母」などが該当者である。そのため子どもや親などのように、法定相続割合で相続税を計算しても、2割加算のように税負担の割合が法定相続割合と一致しないケースもあるため注意が必要である。では具体的にどのようなケースがあるのだろうか。次の項で詳しく解説する。

相続税の負担割合は法定相続割合と一致しないケース

相続税の計算を法定相続割合で計算した場合であっても納税額が増減する可能性がある。具体的には以下の2つのケースが当てはまる。

控除が適用された場合

相続税には配偶者控除のようにたくさんの控除制度が設けられている。例えば相続人が未成年者である場合、現在の年齢から18歳までの差額年数1年につき、10万円を相続税から差し引くことができる未成年者控除などが適用される。

また相続人が障害者である場合は、障害者控除の適用ができ、現在の年齢から85歳までの年齢の差額年数分につき、10万円または20万円控除が可能となる。相続税は相続する人によっては控除が適用できるため、法定相続割合で計算した相続税と異なるケースが多い。

その他の控除は「相続税額はどのように計算する?自分でできる相続税シミュレーションを紹介」にて解説している。

評価方法が異なる財産

不動産を遺産分割する際の評価額と相続税の計算をする際の評価額では算出方法が異なるため、法定相続割合と一致しない場合がある。遺産分割における不動産の評価は時価を基準として計算する。

しかし相続税の計算時には「路線価」や「固定資産税評価額」などを用いて算出するため、評価額に差額が生じる。その結果法定相続割合で遺産分割しても、相続税額が違くなる可能性がある。路線価での評価額の計算方法については「相続税路線価とは何?路線価の使用用途と計算方法を紹介」で詳しく解説している。

法定相続割合が適用されないケース

法定相続割合は相続人同士が公平に遺産分割を行うための目安割合であるものの、以下に該当する場合は適用されないため注意が必要である。

遺言書通りに遺産分割する場合

被相続人が遺言書を残していた場合、原則遺言内容に則って遺産分割を行う。遺言書は被相続人の意思を示した書類であり尊重してあげることが望ましい。そのため遺言書がある場合は法定相続割合が適用されないケースが多い。

ただし遺言書の内容が「すべての財産を特定の相続させる」などと記載されている場合、他の相続人には不利益となってしまうため、兄弟姉妹以外の法定相続人は遺留分を主張することが可能だ。遺留分について詳しく知りたい方は「相続人は遺留分でいくらもらえる?遺留分割合と請求方法について解説」を確認してほしい。

また遺言書の内容に納得できない場合、相続人同士で遺産分割協議を行なって遺産分割を定めることも可能だ。

遺産分割協議で相続人全員が同意した

遺言書の内容について相続人全員が納得できない場合や、遺言書が作成されていない場合は、相続人同士で話し合いを行い「誰がどの財産を継承るか」を決める。決める際、必ず法定相続割合で分け合わなければいけない訳でもなく。配偶者だけに財産を継承させることも可能である。また現金などと違い、不動産などは分割が難しい。そのためで相続人全員同意した財産分割をした場合は、法定相続割合が適用されないこともあると認識しておくべきである。

寄与分を考慮した場合

相続人の中に被相続人の老後生活や介護の補助、事業を無給で手伝った相続人には寄与分として遺産を多く渡すことが可能である。寄与分を受けた相続人は取得財産が増えるため、法定相続割合より多くなることとなる。

特別受益を行った場合

相続税の節税をするために、被相続人が生前しているうちに財産を相続人や第三者へ無償で贈与する生前贈与を行った場合、贈与を受けていない相続人にとっては本来相続する予定だった財産が減ることになる。そのため贈与や遺贈が行われた相続人がもらえる相続税財産の割合を減らす計算をしなければいけないことになるため、法定相続割合とは異なる遺産額を相続することになる。(特別受益の計算)

まとめ

今回は相続人別の法定相続割合で取得できる財産額と相続税額の一例を紹介してきた。法定相続割合は民法で定められており、各相続人によって割合が異なる。とはいえ法定相続割合は遺産分割割合を定める1つの指標であるため、必ず守らなければいけないものでもない。

遺言書の内容通りに遺産相続する場合や、相続人全員が同意した遺産分割である場合、法定相続割合は適用されない。また本来支払う予定だった相続税額もさまざまなケースによって遺産額が増減するため、納税額も変わってくる点は注意が必要である。

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