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相続が発生した時の税金はどれくらい?高額納税を抑える3つの方法とは

相続が発生した後は相続税を納税しなければいけない。 相続税は2015年を境に基礎控除額が改正され、1人あたりの平均納税額が1,700万円と高額だ。 さらに納税対象者も増加傾向にあり、自身が納税者となる可能性も高いため、あらかじめ相続税について理解しておくことが望ましい。

しかし相続税と聞いても専門性が高いイメージがあり、目を背けている方もいらっしゃるのではないだろうか。そこで今回、相続税の概要と節税する3つの方法について解説し、最後には納税手続き方法にについても紹介する。

本記事を読むことで事前に相続税の内容を理解でき、納税額の対策を取ることに繋げることが可能となる。 これから相続を控えている方はぜひ参考にしてほしい。

目次

相続の税金とは

相続の税金とはどのような内容のことを示すのだろうか。ここでは相続税の概要について紹介する。

相続とは

相続とは財産を所有している方が亡くなった際、財産や権利を法定相続人が継承することを指す。一般的に継承する財産は主に以下の項目だ。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 株式などの有価証券
  • 自動車
  • 生命保険金
  • 債務など

相続ではプラスの財産となる現金や預貯金の他に、債務などの負の財産も引き継ぐことになる。そのため相続人にとっては負債を引き継ぎたくないことから相続権を放棄するという方もいる。これを「相続放棄」という。相続放棄について詳しく知りたい方は「債務を相続しなくて済む相続放棄とは?概要と手順を紹介」を確認してほしい。

相続対象者

相続する人のことを法定相続人と呼び、対象者は以下の表の通りである。

必ず相続する人配偶者
第一優先順位子どもや代襲相続人
第二優先順位両親・祖父母などの直系尊属
第三優先順位兄弟姉妹

相続人には優先順位が存在し、高い人から相続する権利を持つが、優先順位に関わらず配偶者は必ず法定相続人となる。さらに配偶者の他に優先順位の高い人が法定相続人に含まれるため、一般的には「配偶者+優先順位の高い人」となる。

相続対象者として最も多いケースは配偶者と子どもだ。しかし子どもなどがいない場合、第二優先順位と配偶者が法定相続人、両親などがいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となる仕組みである。法定相続人の優先順位に関しては「相続人になる人は決められている?相続人の優先順位とは」でより詳しく解説している。

相続の税金とは

相続の税金とは被相続人(亡くなった人)の財産金額に応じて法定相続人が支払う税金のことであり「相続税」と呼ばれる。相続税は被相続人の財産の合計額(課税遺産総額)から基礎控除額を差し引いた金額に対して課せられる税金である。基礎控除額は以下の計算式で算出する。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

基礎控除額以内の課税遺産総額であれば相続税は課せられないことを意味する。また基礎控除額以外にも非課税財産や負債なども差し引くことができるため、相続税の計算をする際は税理士などの専門家に相談することが望ましい。基礎控除額の内容を詳しく知りたい方は「相続税の基礎控除額の仕組みとは?基礎控除額を計算する際の4つの注意点を解説」にてより詳しく解説している。

支払期限は10か月以内

相続税は相続が開始した日から10か月以内に納税しなければいけない。相続が開始した日とは被相続人(亡くなった人)の死亡日と定められている。死亡したと判断するには以下の3項目に分かれる。

  • 自然死亡

自然死亡とは医師が死亡したと判断し、死亡診断書の死亡日時を記載した日付のことを指す。一般的に自然死亡で相続開始と判断される。

  • 死亡擬制

死亡擬制とは法的に死亡が判断される失踪宣告がされたケースを指す。失踪宣言は7年間以上生死不明、戦争や震災、船の沈没などによって1年間以上生死不明の場合に適用される。

  • 認定死亡

認定死亡とは死体の確認ができないものの、事故や災害によって取調官公署が死亡を認定したものを指す。誘拐による殺害なども該当する。

死亡の確認は第三者による判断が多い。どの死亡であっても相続においては10か月以内に相続税の納税と申告を行う必要がある。期限を過ぎてしまうと「延滞税」などのペナルティが課せられるため注意が必要である。ペナルティについては「期限がある7つの相続手続きとは?相続税の申告期限が過ぎた際のペナルティを解説」にて解説している。

相続税はどれくらいかかる

相続税の納税額は被相続人の遺産総額によって異なるものの、どれくらいかかるものか気になる方も多いのではないだろうか。またどれくらいの方が納税者となっているかも疑問に思う方もいらっしゃるため、ここでは「平均納税者数」と「平均納税額」を紹介する。

相続税の平均納税者数は

国税庁が発表している「令和2年分相続税の申告事績の概要」を確認すると、令和元年と令和2年の納税者数は以下の表の通りである。

死亡者数相続税がかかる被相続人の数納税者数
令和元年1,381,093人115,267人254,517人
令和2年1,372,755人120,372人264,455人

日本では毎年130万人以上の方が亡くなっているおり、その内約8.5%前後の方が相続税がかかるほどの財産を所有していたことがわかる。その結果、相続税の納税者数は25万人を超える人数となっている。また冒頭にもお話した通り2015年に相続税の基礎控除額が改正されたのが要因で、2016年度の相続税がかかる被相続人の数は56,239人から、令和では2倍近い課税件数にもなった。

さらに基礎控除額の改正だけでなく、土地などの不動産の地価上昇なども要因の一つとなり、毎年課税対象者が増え納税者も増加傾向にある。では一体いくらほど納税しているのかを次の項で解説する。

相続税の平均納税額は

上記の平均納税者数同様、「令和2年分相続税の申告事績の概要」では令和元年の1人あたりの平均納税額は1,714万円であった。令和2年になると1,737万円と前年比より高い数値となっている。平均納税額が見てわかる通り、相続税は非常に高額であるため、事前に節税対策することが望ましいだろう。ではどのような節税方法があるのだろうか。次の項で高額納税を抑える3つの方法について紹介する。

相続税を節税するためには

相続税の節税をするためには、被相続人が生前中に対策しなければいけない。相続が発生した後の節税方法はないため、これから紹介する3つの方法で納税額を抑えるようにしてほしい。

アパートなど資産に組み替える

アパートなどの不動産は現金と比べて評価額を下げることができるため、相続税の節税に繋げることが可能である。現金は相続においてそのままの金額が課税対象額となるものの、不動産などは50%〜60%ほどの評価額に圧縮できるため、課税対象額を下げることができる。

例えば現金1億円を所有したまま相続が発生すると、1億円に対して相続税が課せられる。しかし現金1億円を使ってアパートを建築した場合、評価額は6,000万円前後となるため、相続税の課税対象額を抑えることができ、相続税の節税につなげることが可能となる。具体的にどれくらい相続税の節税につながるか知りたい方は「相続対策は2種類必要!相続人が安心する対策方法を紹介」を確認してほしい。

またアパートなどを建築した土地は、一定面積まで小規模宅地等の特例が適用でき、土地の評価額を50%〜80%圧縮することも可能だ。例えば更地の状態での評価額が2,000万円の場合、アパートを建築することによって400万円〜1,000万円の評価額にすることができる特例であり、課税対象額を下げることにつながる。もちろん細かな適用条件などがあるため、詳しくは税理士などの専門家に相談することをおすすめする。

生前贈与による課税対象額の圧縮

生前贈与をすることで被相続人の遺産を減らすことにつながり、納税額を抑えることが可能となる。生前贈与とは被相続人が生前中に財産の一部を相続人または第三者へ無償で贈与する方法である。ただし贈与税には基礎控除額110万円が定められており、その金額以上となると贈与税が課せられる。贈与税は相続税同様、日本で最も高い税率であるため注意しなければいけない。生前贈与ついて知りたいは「相続対策は2種類必要!相続人が安心する対策方法を紹介」の記事の中で詳しく解説していため確認してほしい。

養子縁組による法定相続人の増加

養子縁組することにより法定相続人を増やすことができ、基礎控除額を高くすることが可能となる。その結果、課税対象額を下げることができ、相続税の節税につながることが可能だ。ただし養子縁組が法定相続人の数に含まれる人数には以下の通り制限がある。

  • 実子がいる場合・・・1人まで
  • 実子がいない場合・・・2人まで

相続においては最大2人までと限られている。養子縁組した子が5人・6人いる場合であっても、相続税の基礎控除額の計算ににおいては1人ないし2人までとなるため、相続税対策で養子縁組する場合は人数に注意しなければいけない。基礎控除額については「相続税の基礎控除額の仕組みとは?基礎控除額を計算する際の4つの注意点を解説」にて詳しく解説しているため確認してほしい。

相続税の納税手続き方法とは

ここでは相続税の納税額手続き方法について紹介する。

財産調査を行う

財産調査とは、「被相続人の遺産額を算出するため」と「遺産を分割するため」に用いる。どの財産がどれくらい価値があるのかを調査しないと、公平に遺産分割することができない。また相続税の納税額を算出するためにも以下の項目について調べる必要がある。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 生命保険
  • 株式などの有価証券
  • ゴルフ会員権
  • 車両、貴金属
  • 債務

金融機関や保険会社、証券会社などに問い合わせをしてどれくらい財産があるか調べることから始める。仕事をしている人にとっては問い合わせする時間もなければ、必要書類の準備も難しい方もいるだろう。その場合、司法書士や税理士などに相談することも可能だ。費用は発生するものの、相続は10か月以内に申告と納税をしなければいけないため、いち早く財産調査が求められる。財産調査が行える士業については「相続の相談は誰にすれば良い?相続手続き別の相談先と費用目安を紹介」で確認してほしい。

相続人の確定

財産調査が完了した後は相続人の確定を行う。一般的には配偶者や子どもなどが法定相続人となるが、被相続人に隠し子がいる場合、その子も法定相続人になる。そのため家庭内で相続人を決めるのではなく、被相続人の本籍地から戸籍を遡って調べる必要がある。また相続権利を放棄する方は相続人から外れるため注意してほしい。相続放棄については「債務を相続しなくて済む相続放棄とは?概要と手順を紹介」を参考にしてほしい。

さらに被相続人に対して嫌がらせや悪質な行為を行った相続欠格者や相続廃除人も法定相続人から外れることになる。そのため相続人の確定は相続人から外れる人を確定させることでもあると認識しておいてほしい。相続人から外れる相続欠格者や相続廃除人については「相続する資格のない人とは?3つの無資格者と手続き方法を解説」にて詳しく解説している。

税理士による相続税の算出

法定相続人が確定したあとは相続税の計算を行う。相続税の計算は非常に複雑であるため、税理士に相談することをおすすめする。税理士を使わずに相続税を計算すると、間違えた金額のまま納税する可能性も高く、ペナルティが課せられることにもつながりかねない。

そのため専門的による適切な金額を納税するようにした方が良いだろう。相続税の計算方法を確認してから依頼するか判断したい人は「相続税の計算方法をわかりやすく解説!計算する際の3つの注意点とは」にて算出方法を紹介しているため確認してほしい。

4つの納付方法

相続税の納付方法は以下の4つの方法がある。それぞれの納付先と注意点を紹介する。

税務署税務署窓口で納付
金融機関・郵便局金融機関・郵便局の窓口で納付
クレジットカード国税庁HPまたはe-Taxから「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし納付手続きすることが可能
コンビニ税務署にて「バーコード付納付書」を発行してもらい納付可能
  • 税務署で納付

税務署で納付する際は、現金を持参しなければいけないため、持ち運びの際は注意が必要。

  • 金融機関・郵便局

その場で口座から引き落としして納付できるメリットがある。納付書も窓口で取得可能なため、高額な金額を引き出す際には銀行印を準備する。

  • クレジットカード

クレジットカードで支払う際は決済可能額に注意。また納付額に応じて以下の手数料が発生する。1万円毎に76円が加算される。

納付額決済手数料
1万円未満76円
1万円以上2万円未満152円
2万円以上3万円未満228円
50万円3,800円
100万円7,600円
1,000万円76,000円
2,000万円152,000円
  • コンビニ

コンビニでは納付額が30万以下と限られている。その金額以上は対応不可。

まとめ

今回相続税の概要と3つの節税方法、手続き方法を紹介した。 相続税は平均1,700万円を超える高額な税金である。 また毎年納税者も増えてきているため、あらかじめ相続税について理解しておく必要があり、また被相続人は相続税を安くするためにも生前中に対策を取らなけれなばいけない。

相続が発生してから対策は取れず、10か月以内と定められている申告と納税をするためにも、税理士などの専門的に相談しておくことをおすすめする。

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