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不動産を相続した時に必ず支払う登録免許税とは?計算方法と納付方法を紹介

不動産を相続し、被相続人から相続人へ名義変更登記する際は登録免許税を納付しなければいけない。登録免許税は不動産によって費用は異なるものの、決して安い価格ではなく、登記する際に驚く方も多い。しかしあらかじめ登録免許税の費用を理解しておけば、安心して登記できる方もいるだろう。

そこで今回、登録免許税の計算方法と納付方法について解説する。必ず納付なければいけない税金であるため、不動産の相続を控えている人はぜひ参考にしてほしい。

目次

登録免許税の概要

登録免許税と言われてもどのような内容か分からない方も多いのではないだろうか。ここでは登録免許税について知らない方に向けて本税の概要や税率を紹介する。

登録免許税とは

登録免許税とは登録免許法に基づいた国税である。不動産を相続し、名義変更する際は必ず納税しなければいけない。また土地の売却や贈与によって土地の所有権が移行される場合も納税が義務付けられている。

さらに金融機関から不動産を担保として借入する場合、抵当権が設定され、登録免許税を支払う必要がある。抵当権とは万が一債務者が返済できなくなった際、債権者は担保としていた不動産を売却し、返済に回せる権利のことである。この場合の登録免許税は金融機関ではなく債務者が支払う必要があるため注意してほしい。

登録免許税は不動産の評価額や金融機関からの借入金額に対して税率をかけた金額が納税額となる。ではどれくらいの税率なのだろうか。次の項では登録免許税の税率について解説する。

登録免許税の税率について

登録免許税は土地と建物に課せられ、それぞれ税率も異なる。また不動産の名義変更事由によっても違いが生じるため、下記の表を参考にしてほしい。

  • 土地の登録免許税
名義変更自由税率
相続0.4%
贈与2%
売買2%(令和5年3月31日までは1.5%)
  • 建物の登録免許税
名義変更自由税率
相続0.4%
贈与2%
売買2%
新築住宅の登記0.4%
  • 抵当権設定
抵当権設定0.4%(自己居住用などであれば0.1%)

登録免許税率は土地と建物ではさほど違いがなく、相続においては税率が0.4%となる。売却に関しては買主贈与に関しては受贈者が登録免許税を支払う。そのため相続した不動産を売却して納税資金にする際は、相続人は登録免許税を支払う必要がない。不動産の売却について詳しく知りたい方は「相続税の納税資金として不動産を売却する2つのコツとは?」を確認してほしい。

では上記の税率を用いてどのように登録免許税を計算するのだろうか。次の項では登録免許税の計算方法について解説する。

登録免許税の計算方法

登録免許税には簡単な計算式があり、誰でも簡単に算出できる。ここでは納税額の計算方法について解説する。

登録免許税の計算式

登録免許税の計算式は以下の通りである。

登録免許税=不動産の価額×税率

抵当権設定の場合、不動産の価額ではなく借入金額となる。しかし不動産の価額とはどのようなことを刺すか疑問に思う方もいるだろう。次の項では不動産の価額について解説する。

不動産の価額とは

不動産の価額とは固定資産税評価額のことを指す。固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際の基準額であり、全ての不動産に設定されている。各市町村で定めるため「当該年度価格」「評価額」など名称が異なる場合もある。固定資産税評価額は固定資産税納税通知書に記載されているため確認してほしい。

ただし納税通知書が手元にない場合、役所の窓口で「固定資産税評価証明書」を取得することで確認できる。固定資産税評価証明書とは不動産の評価額が記載された書類だ。書類は本人や代理人などが取得できるが、相続発生後の場合は所有者が亡くなったことがわかる除籍謄本と相続人の戸籍謄本を提出することで発行してもらえる。なお発行するには300円の費用が必要となる。

計算例

土地と建物を相続する場合、登録免許税はそれぞれ納税しなければいけない。例えば土地の固定資産税評価額が2,000万円、建物の固定資産税評価額が3,000万円と仮定すると以下の納税額となる。

  • 土地の登録免許税=2,000万円×0.4%=8万円
  • 建物の登録免許税=3,000万円×0.4%=12万円

登録免許税の2つの免税措置

令和4年の税制改正により登録免許税の減額処置が令和7年3月31日まで延長された。ではどのような内容なのだろうか。次の項で詳しく解説する。

土地を相続した人が登記前に亡くなった場合は免税となる

相続が発生し土地の名義変更登記を行う前に相続人が死亡した場合は登録免許税が免税となる。例えば父親が亡くなり、長男が土地を相続することになる名義変更登記を行ったものの、登記前に長男が亡くなった場合の登録免許税が0円となるということだ。長男が亡くなった場合でも一度長男名義に登記し、相続を控える場合にとっては有効な制度である。

固定資産税評価額が100万円未満であれば免税

田舎の土地や田んぼ名であれば固定資産税評価額が低い土地も多い。令和7年3月31日までは固定資産税評価額が100万円未満のものは免税となった。もともとは10万円未満だったうえに適用されるエリアに制限があったが、今回上限額の引き上げと全国の土地が対象となったのである。ただし土地の所有権の保存登記又はその土地の相続による所有権の移転登記のみ適用となるため注意してほしい。

免税する際は申請書類の作成を行う

上記の免税措置の適用を受けるには申請書の作成を行い、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と記載しなければいけないため注意してほしい。申請書は法務局の「相続登記の登録免許税の免税措置について」にてダウンロード可能である。

登録免許税の納付について

これまで登録免許税の計算方法や免税措置を紹介したが、最後の納付期限や納付方法を解説する。

納税期限

登録免許税の納付期限は登記前である。相続によって名義変更登記を法務局に申請する際は納付した領収書や収入印紙を貼り付けて申請しなければいけない。納付しなければ登記申請を受け付けてくれないため、事前に納付しておくべきである。

納付方法

登録免許税の納付方法は3種類ある

  • 金融機関で納付

登録免許税は金融機関の窓口で納付できる。登録免許税の金額が大きい場合、大金を持ち歩くのは危険であるため、安心できるだろう。金融機関の窓口で納付書をもらい、必要事項を記入して提出し登録免許税を納付する。支払った後は領収書が交付されるため、無くさないように注意してほしい。なお登録免許税は法務局にて現金で納付ができない。

  • 3万円以下であれば収入印紙で納付可能

登録免許税が3万円以下であれば収入印紙を別紙に添付して納付することが可能である。収入印紙は郵便局や金融機関だけでなく法務局でも購入可能である。また法務局によっては3万円以上の登録免許税であっても収入印紙で納付を受け付けていることろもあるため、事前に確認しておいても良いだろう。

  • 司法書士へ依頼

相続登記は専門的な知識が求められるため、司法書士へ依頼しているケースが多い。司法書士へ登記を依頼する場合、報酬額の他に登録免許税額を渡しておくと、登記申請者に代わって納付してくれる。なおかつ登録免許税の計算もしてくれるため、正しい金額を納税できるメリットがある。相続登記を司法書士へ依頼する場合はおすすめである。相続登記について詳しく知りたい方は「相続登記に必要な8つの書類とは?必ず間違えてはいけない3つの注意点も解説」を確認してほしい。

登録免許税の注意点

ここでは登録免許税の注意点を2つ紹介する。

登記簿と実測面積が異なる場合

土地によっては法務局で管理している登記簿の面積と実測面積が異なるケースもある。その場合登記簿面積での固定資産税評価額で登録免許税を計算する。ただし実測面積の方が大きい場合、固定資産税を安く支払っていることにもつながるかねないため注意が必要だ。将来的にも土地を売却する際も実測面積の方が良いだろう。

土地の売却価額は敷地面積に坪単価をかけた値で算出するのが一般的である。そのため実測面積の方が大きい場合の方が高く売れることもあるだろう。相続した土地を高く売りたい方は「相続税の納税資金として不動産を売却する2つのコツとは?」を確認してほしい。

いつの固定資産税評価額で計算するか

固定資産税評価額は毎年金額が増減するため、最新の書類を用いて登録免許税を計算すると思われがちだが、登記申請する日が属する年度である4月1日~3月31日の固定資産税評価額を用いて計算する。例えば令和3年12月に登記申請する場合、令和3年度の固定資産税評価額で登録免許税を計算する。

ただし令和4年4月1日に登記申請する場合は令和3年度の固定資産税評価額で計算しなければいけない。固定資産税評価額は粘土で区切られるため、間違えないように注意してほしい。なお固定資産税納税通知書は1月1日時点での所有者に対して4月~6月頃に届く。そのため4月上旬に登記することになった場合でも納税通知書が届かない場合は、役所へ連絡するか固定資産税評価証明書で対応するようにしてほしい。

まとめ

今回、不動産を登記する際に納付する登録免許税について解説した。登録免許税は不動産の名義変更登記をする際に必ず納税しなければいけない税金であり、納付証明書がなければ法務局で登記申請を受け付けてくれない。そのため不動産を相続して登記際はあらかじめ登録免許税を用意しておいた方が良いだろう。

登録免許税は固定資産税評価額によって金額が異なる。また免税措置はあるものの、該当するケースも少なければ、減額処置は一切ないため、相続発生後は納付額を計算しておいた方が良いだろう。

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