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相続登記に必要な8つの書類とは?必ず間違えてはいけない3つの注意点も解説

遺産分割協議が完了した後は、相続登記を行う必要がある。相続登記をしなければ、被相続人から遺産を継承したとはされず、第三者に自身の財産であることを証明できない。とはいえ相続登記と言われても分からない方も多いのではないだろうか。

そこで今回、相続登記にフォーカスをあて、手続きに必要な8つの書類と登記方法、3つの注意点を紹介する。これから相続を控えている方は、相続登記を行う場面があるだろう。ぜひ本記事を参考にしてほしい。

目次

相続登記とは

そもそも相続登記とはどのようなことを指すのだろうか。ここでは相続登記の概要と、相続登記を行わなかった時のリスクについて解説する。

不動産の名義変更のこと

相続登記とは不動産の所有者の名義変更を指す。被相続人が亡くなった後の不動産は、相続人が所有権を得る。しかし名義人が被相続人のままであると、不動産を相続した人は第三者に所有権を主張できない。

所有権がないということは不動産の売却や建て替えなどができないことにつながる。そのため被相続人が所有していた不動産は名義変更を法務局で行い登記しなければいけないということだ。

相続登記をしないとどうなる

相続登記をしないままの不動産を所有していると、売却や建て替えができない以外に以下のリスクを伴うことにもなる

  • 後で活用する時に再度遺産分割協議を行う可能性もある
  • 隣地の家が活用できなくなることも

相続登記しないまま、数年たった後に売却しようとしても遺産分割協議書が紛失しているケースが良くある。遺産分割協議書が無ければ名義変更はできず売却も行うことができない。そのため再度相続人を集めて遺産分割協議を行わなければいけない。中には手間がかかることから遺産分割協議に参加しない人もいるだろう。遺産分割協議は相続人全員が話し合いをして成立するため、1人でも不参加がいる場合は無効となる。結果土地の活用ができず、固定資産税を支払い続ける負の財産にもなりかねない。

また隣地の方が建て替えをする際、隣地境界がはっきり残っている必要がある。隣地境界には境界杭が地面に固定してあるが、年数が経つと紛失しているケースも多くある。そのため隣地の方は誰に境界の相談をすればわからなくなり、土地の活用ができなくなる可能性もある。

2024年に相続登記は義務化される

2024年4月1日より相続登記の義務化が施行される。条例の内容は以下の通りである。

  • 相続にて不動産を取得した場合、3年以内に相続登記をしなければならない
  • 登記しなかった場合は10万円以下の過料を科す
  • 住所・氏名が変更される場合は2年以内に変更登記を行わなければいけない

以上のように相続登記を行わない方には罰則が与えられる。またそれでも不動産を登記しない場合は国庫へ帰属となる。

相続登記に必要な8つの書類とは

相続登記に必要な書類は主に以下の8種類あり、それぞれの取得先を表にした。

必要書類取得先
登記事項証明書法務局
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本市役所または役場など
被相続人の住民票の除票市役所または役場など
相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書市役所または役場など
遺産分割協議書または検認済み遺言書
相続人相関図自身で作成
固定資産評価証明書毎年送られてくる固定資産税納税通知書の記載されている
相続登記申請書法務局

上記の他に「身分証明書のコピー」や「印鑑」などが必要となる。それぞれの内容について詳しく解説する。

登記事項証明書

登記事項証明書とは不動産の所有者が記載された書類のことを指す。現在の所有者の氏名・住所の他に、地番や家屋番号、過去に所有していた人から現在の所有者になった経緯まで確認することができる。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

登記申請者が被相続人の相続人であることを証明するために、被相続人の出生から死亡したまでの戸籍謄本が必要となる。戸籍謄本は被相続人が最後に住んでいた管轄の市役所や役場で取得可能だ。

被相続人の住民票の除票

住民票の除票は登記事項証明書に記載されている被相続人と戸籍上の被相続人が同一人物であることを証明するために用いる。戸籍謄本同様、各市町村の役所などで取得できる。また登記事項証明書と住民票の住所が異なる場合は、前住所で記録されている除票を用意しなければいけない。

相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書

相続人の生存確認を証明するために、相続人の戸籍謄本が必要となる。また印鑑証明書も必要だ。注意したいのは相続登記を申請する相続人だけでなく、相続人全員分という点である。印鑑証明書登録をしていない場合は登記できないため、市役所や役場で手続きしておいてほしい。

遺産分割協議書または検認済み遺言書

不動産を登記するうえで最も重要な書類が「遺産分割協議書」または「検認済み遺言書」である。遺産分割協議書とは相続人全員が遺産の分割方法について話し合いを行い、協議内容をまとめた書類だ。そのため自身が不動産を相続した証明書類になる。

また遺言書に不動産を相続する旨が書いてある場合、遺産分割協議書同様不動産を相続した証明になる。しかし遺言書は家庭裁判所の検認済みであることが条件だ。検認にが1か月前後要するため、すぐに内容は確認できない。ただし遺言書によっては検認手続きが不要な書類もあるため、弁護士などの専門家に確認してもらうことをおすすめする。

相続人相関図

相続人相関図とは被相続人と相続人の関係を表した図であり、いわゆる家系図のようなものである。相続人相関図は様式などが定められておらず、提出義務もない。ただし相続登記を申請する際、法務局の方へわかりやすく説明できる書類になる。より詳しく知りたい方は「相続人相関図は何に使う?使用用途と作成方法を紹介」を確認してほしい。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書とは、相続登記する際に納税する登録免許税を算出するために用いる。登録免許税とは不動産の名義変更や新築物件の所有者登記、金融機関からの借入などをする際に支払う税金である。相続登記の場合、登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」を支払う。その金額を算出する為に固定資産評価証明書が必要となる。

相続登記申請書

相続登記を申請するための書類であり、法務局のホームページにある「不動産登記の申請書様式について」様式をダウンロードできる。窓口でも取得できるため、記入方法が分からない方は法務局の担当者に確認しながら記入しても良いだろう。

相続登記の方法とは

相続登記は自身で行うこともできれば司法書士などの専門家に依頼することも可能だ。ここでは双方のメリット・デメリットを紹介する。

自身で登記する場合のメリット・デメリット

相続登記を自身で行う場合のメリットは「司法書士への報酬料が発生しない」点が挙げられる。相続登記費用を司法書士へ依頼した場合、数万円程度が相場と言われているものの、相続登記する数や司法書士によって価格は大きく異なる。さらに登記を依頼する方も多くはないため、相場価格がわからず高額費用を支払ったというケースも多い。そのため自身で行うことにより、高額な費用はおろか、報酬料を支払う必要がないメリットがある。

一方で専門的な知識が求められる相続登記であるため間違えて登記してしまうこともあるだろう。相続登記を間違えて違う人に登記すると、自身で運用できなくなる。そのため相続登記をする方の多くは司法書士へ依頼しているのが実状である。では司法書士へ依頼した場合のメリットはどんなことが挙げられるのだろうか。次の項で詳しく紹介する。

司法書士へ依頼する場合のメリット・デメリット

司法書士へ依頼する場合のメリットは委任状一枚で済むことである。先ほど紹介した相続登記に必要な書類のほとんどが委任状で取得できる。そのため登記申請者は署名と捺印だけすれば後は司法書士が申請してくれる。勤めている人などは役所で必要書類を取得する時間が無いという方も多いのではないだろうか。

しかし司法書士へ依頼すれば全て一任できるうえ、正しい登記も行ってくれるメリットがある。もちろん費用が発生してしまうため、相続登記を依頼する場合は事前に費用を確認しておくことをおすすめする。司法書士へ依頼した場合の費用は「相続の相談は誰にすれば良い?相続手続き別の相談先と費用目安を紹介」で紹介している。

相続登記をする際の3つの注意点

相続登記をする際はこれから紹介する3つのポイントに注意してほしい。

間違えて登記すると大きな税金が課せられる場合もある

相続登記を間違えて違う相続人に登記してしまっても変更届ができず、再度登記し直さなければいけない。その際注意するのが税金である。不動産の登記は名義人を変更すると登録免許税の他に、贈与税や譲渡所得税の課税対象となるケースが多い。

特に贈与税は相続税と並ぶ日本一高い税率である。間違えて登記したからと言って正しい相続人に無償で渡し登記し直すと、大きな贈与税が課せられるだろう。

また贈与税を免れるために売買した場合、譲渡所得税の課税対象にもなりかねない。譲渡所得税については「相続した土地を売却した場合の税金計算方法と売却手順を紹介」にて解説しているため確認してほしい。

登録免許税はあらかじめ計算しておく

先ほどもお伝えした通り相続登記をする際は登録免許税が課せられる。登録免許税も決して安い価格ではないため、登記する際に驚く方も多い。登録免許税が支払えないと登記できないため、あらかじめ納税額を計算し、準備しておくことをおすすめする。

登録免許税について詳しく知りたい方は「不動産を相続した時に必ず支払う登録免許税とは?計算方法と納付方法を紹介」を確認してほしい。

相続登記は専門家に依頼するべき

相続登記は自身で行うことも可能だが、間違えて登記すると大きな税金を支払うことにもつながりかねないため、司法書士などに依頼することが望ましい。相続登記は、相続内容によって必要書類も異なれば申請書の記入方法にも違いがある。相続は専門的な知識と複雑な手続きが求められるため、専門家に相談することをおすすめする。

まとめ

今回、相続登記に必要な書類と登記方法、注意点を解説した。相続登記をする際は8つの書類が必要となるものの、初めて登記する方も多く、聞いたことない書類も多いのではないだろうか。一つでも書類が不足していると登記手続きが進まなくなるため、ぜひ本記事を参考にして準備してほしい。

またそれでも必要書類に不安があるという方は、司法書士へ依頼した方が良いだろう。数万円の費用が発生するものの、確実に正しい登記をしてくれるうえ、委任状一枚で完了できる。手続きに不安のある方は迷わず専門家へ相談するようにしてほしい。

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